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サルバドール・ダリの【欲望の謎、母よ、母よ、母よ】が好きッ‼︎

 

みなさん、こんにちは。

 

私に強い感動を与え、芸術の眼を開いてくれたのが、サルバドール・ダリです。

 

今回は、そのダリのお話をしたいと思います。

 

Contents 目次

1、「欲望の謎、母よ、母よ、母よ」

 

まずは、その作品を、おひとつ!

 

『欲望の謎、母よ、母よ、母よ』

 

この作品はご存知の方も多いのではないでしょうか。

 

ダリが、パリの個展に発表した作品です。

売れた最初の作品だそうです。

買ったのはパトロンとなるノアイユ子爵という人です。

 

作品を観ると、母を表現しているのか胎児のような顔が横たわり、その顔から、穴の開いたエメンタールチーズのような、黄金の塊のような胴体が描かれています。

食感を感じると同時に、金塊も連想させ、しかも胎児でもある。

なんとも奇妙な生命体が、砂漠に存在しています。その左奥にも奇妙な生き物(?)がいて、中央の奥にも何か不思議な岩(?)が見えます。

 

まぁ、そんな“分析”はさておき、やっぱりこの作品は、何度見てもいいですねぇ。

 

こんな絵を描いたダリって、どんな人でしょうか?

 

それを次に見てみましょう。

 

2、サルバドール・ダリって、どんな芸術家なのか?

 

1、異端のシュールレアリスト

 

ダリはシュールレアリストの中でも特に異端的存在と言えるようです。

 

ダリは1904年5月11日、スペインの東北端に近い小さな田舎町フィゲラスで生まれました。

名前の正式名は、「サルバドール・ドメネク・フェリーぺ・ハシント・ダリ」です。

サルバドール(Salvador)とは「救世主」という意味で、キリストの別称です。

つまり、「救世主ダリ」って事なのですから、名前からして凄いですね。

 

同じシュールレアリズムと言いましても、ダリは、後期の代表とされています。

 

2、ダリ独特の方法

 

ダリはフロイトの著作や精神分析に深く心を奪われ、ダリ独自の「偏執狂的批判的(パラノイアック・クリティック)」方法というものを生み出しました。

これは「精神錯乱の世界を造形的手段によって具体化しうるような、積極的な方法」ということです。

 

つまり、今でいう統合失調症の妄想の世界を芸術作品として表現しようと言うことでしょうか。

 

ダリは、椅子に座ってウトウトとして眠りかけの時に見たイメージを作品に利用したりしていたようです。

自分の無意識の意識と繋がりながら、創作をしようとしていたようです。

 

3、フロイトはダリと会って、ダリのことを「なんという狂信者だ」と言った。

 

1938年には、ナチス・ドイツから逃れてロンドンに住んでいたフロイトに会っています。

フロイトは、ダリのことを「彼以上に完璧なスペイン人は見たことがない。なんという狂信者だ」と言ったといいます。

 

夢判断 上 (新潮文庫 フ 7-1)

 

私も、ダリの作品を知ってから、さらにフロイトの精神分析に興味を持ちました。

フロイトの著作の『精神分析入門』『夢判断』などから読んでいきましたね。

 

内容は、なかなか面白くて、興味深かったです。

 

でも、私の場合は、フロイトにはもう一つ馴染めないものを感じましたね。

 

皆さんはどうですか?

 

エディプスコンプレックスだとか、男根期だとか、なかなか面白いことだと思いましたけど・・・

なるほど、人間の心にはそうしたものもあるのかなぁ、と思った程度でした。

 

これは人間の無意識という深い世界を、その頃20歳前後だった若い私には、あまり理解できなかったことが大きな原因だと思います。

また、私が西洋人ではないということも、フロイトに距離感を感じさせたのかも知れません。

 

ダリ 『ミレーの建築的晩鐘』

 

ダリの作品には、“長い棒”のようにフロイト的なリビドー(性欲)的解釈が見られ、セクシュアルな表現に満ちています。

 

4、ガラが、インスピレーションの源泉だった

 

詩人ポール・エリュアールの夫人が、後のダリ婦人となるガラです。

 

ちなみに、このポール・エリュアールといいアンドレ・ブルトンといい、その詩作品を読んでも、私にはサッパリわからないのですが・・・??

皆さんもシュールレアリズムの詩を、一度読んでみてはどうですか?

 

ところで、1932年にガラと結婚して以来、ダリにとって妻のガラは尽きることの無いインスピレーションの源でした

 

このように異性との出会いが、アーティストのインスピレーションに火を点けるという事はよくあることです。

皆さんも思いあたることはありませんか?

 

事実、ガラが1982年に死去した後は、ダリは完全にその活動を停止しています。

 

ダリとガラ

 

晩年には、火事で全身に大火傷を負っています。

私は、テレビでダリが火傷で包帯巻きにされている姿を観た事がありますが、それが印象に残っています。

 

1989年1月23日、異端のシュールレアリスト、サルバドール・ダリは肺炎と心臓発作で亡くなりました。

享年84歳でした。

 

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3、シュールレアリズム(超現実主義)とは

1、“超”現実を表現する

 

皆さんの中には、シュールレアリズムという言葉を知っている方は多いと思います。

でも、その内容はあまり知らない人が多いのではないでしょうか。

 

まず、“超現実”とは、現実を超えて離れていたり、非現実である事を言うのではありません。

 

日本ではよくちょっと変わったものを、“シュールな”と言ったりしますね。

そこから何でも変わったものをシュールレアリズムだと考えてしまいそうです。

 

でも、シュールレアリズムとはただ単に、変わっているものを言うのではないのですよ。

それは、「過剰なまでに現実」「上位の現実」「ものすごい現実」「強度の強い現実」というような意味なのです。

 

では次は、シュールレアリズムの始まりのお話しです。

 

2、シュールレアリズムの歴史

 

シュールレアリズムの運動は、はじめは詩人たちの間で起こりました。

そして1924年にアンドレ・ブルトンの「シュールレアリズム第一宣言」によって、確立されたのです。

 

「シュールレアリズム第1宣言」のなかで、彼は「理性による抑制をすべて取り除き、いっさいの美的あるいは道徳的先入観から離れて行なわれるべき思考の書き写しである」と述べています。

 

当初は、絵を描くというのは意識的な行為であるため、シュールレアリズムの絵画は存在し得ないと考えられていたそうです。

 

アンドレ・ブルトン(André Breton, 1896年-1966年)

 

このシュールレアリズム宣言以前には、ダダイズムという芸術運動が起こりました。

ダダイズムとは第一次世界大戦の混乱に嫌気がさした芸術家が、本来の人間らしさを取り戻そうという活動です。

 

このダダイズムに参加していた多くの作家がシュルレアリスムに移り、発展的な形でダダイズムは解消していったのです。

 

そして、シュールレアリズム運動はその後、政治や思想・文学などさまざまな分野におきな影響を与えることになりました。

 

その翌年1925年の第一回展に参加した画家たちの顔ぶれは、次のような人たちです。

エルンスト、キリコ、クレー、アルプ、マン・レイ、ミロ、ルネ・マグリッドなど。

 

近代芸術史に残る、そうそうたる顔ぶれですね。

 

ダリは、少し遅れて1929年に参加して、翌年からこのグループ展で活躍し始めます。

 

ダリはシュールレアリズム運動の中では、後期の代表とされています。

 

前期の立役者がエルンスト流のオートマティスムが受け身で、受動的と言えるとすれば、

ダリのそれは、能動的、積極的なものと言えるでしょう。

 


もっと知りたいサルバドール・ダリ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

 

4、シュールレアリズムの絵画

 

シュールレアリズムの絵画についてお話します。

 

一般に、シュールレアリズムの絵画には大きく分けて、次の2つのスタイルがあります。

  1. 偶然を重視する手法
  2. リアルな写実を使う手法

ここでは、それぞれの特徴を解説します。

 

1、偶然を重視する手法

 

一つ目は、絵の具を滴らせたり、垂らした絵の具を紙にこすり付けてはがした模様を利用します。

あるいは、自動筆記やデペイズマン、コラージュなどを使い、偶然を重視するものです。

 

これは、自意識がはいらない状況をあえて作るのです。

そこで絵を描くことで、無意識の世界を表現しようとした画家たちの手法です。

 

主観や理性や意識が介在できない状態で、偶然出来たものや、そもそも意識の介在から解き放たれた夢の中からこそ、普段気付かれない現実=超現実が出現すると考えました。

 

マックス・エルンスト、ジョアン・ミロがその代表的な画家です。

彼らの絵画は具象的な形態がなくさまざまな記号的イメージにあふれ、その後の抽象画に大きな影響を与えることになりました。

 

今でこそこうした抽象画は、いろいろな作家が創作していて、どこにでも見ることができる絵です。

でもこの時代には、まさに驚きビックリの人類にとって、全く初めての絵のタイプだったのですね。

 

ミロについては、また改めて別のBlog記事で詳しく書いていく予定です。

 

ジョアン・ミロ『ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子』

 

こんなデタラメな絵、まさに天才でなければ描けないでしょう。

 

2、リアルな写実を使う手法

 

シュールレアリズムのもう一つスタイルは、サルバドール・ダリのように、リアルな描写で現実にはありえない光景を描こうというものです。

 

そこでは夢や無意識下でしか起こりえない奇妙な世界が描かれました。

同様の作家にはルネ・マグリットデルヴォーなどがいます。

 

彼らの絵の中に出てくる人物や風景はあくまで具象的です。

こうした絵は、普段の絵画に全く興味の無い人でも楽しめると思います。

 

ルネ・マグリット 『白紙委任状』

 

5、シュールレアリズムと精神分析

 

ダリがフロイトとあったように、シュールレアリズムと精神分析には深い関係があります。

 

シュールレアリスムでは、人間が理解している「現実」というものは、実は、単なる一面的な現実であるのだと考えたのでした。

 

そして、芸術における創造性とは、精神分析の創始者ジークムント・フロイトがいう無意識のなかに宿っているのではないかと考えたのです。

 

ジークムント・フロイト

 

人が芸術の美に感動するのは、実は、無意識が美を感じて、意味を理解するものではないかと考えたのです。

 

そこで、シュールレアリストたちは無意識による美の創造を考えたのです。

そのための手段として自動筆記などの技法を使い、無意識の流れに任せて作品を創作していくと思いがけない美が生み出されると考えたのです。

 

このようにシュールレアリストたちは、フロイトが主張する「無意識」が、より真実の美や人間や社会についての「真実」を表現するのに有用であると考えたのです。

 

その「無意識」を利用した芸術運動を展開したのです。

 

 

以上、今回は、ダリを中心に、シュールレアリズムについて、ざっとまとめてみました。

 

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6、まとめ

 

  • サルバドール・ダリはフロイトの精神分析に影響を受け、ダリ独自の「偏執狂的批判的(パラノイアック・クリティック)」方法というものを生み出した
  • シュールレアリズムとは、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが、1941年に宣言した芸術運動が始まりである
  • シュールレアリズム運動は、その後、政治や思想・文学などさまざまな分野におきな影響を与えることになる
  • シュールレアリズムの絵画には大きく分けて2つのスタイルがある。
  • それは、マックス・エルンスト、ジョアン・ミロのようなタイプと、ルネ・マグリットやデルヴォー、ダリのようなタイプに分けられる
  • シュールレアリストたちは、フロイトが主張する「無意識」が、より真実の美や人間や社会についての「真実」を表現するのに有用であると考えた

 

 

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