みなさん、こんにちは。
盂蘭盆会万燈供養の季節ですね。
これは万燈会(まんどうえ)とも言います。
今日はこの功徳についてのお話をしてみます。
Contents 目次
1、霊験あらたかな「万燈会」
「盂蘭盆」とは梵語の「ウランバーナ」を漢字に音写したものです。
一般には「お盆」「精霊会」「魂祭(たままつり)」などと呼ばれています。
「ウランバーナ」とはもともと「逆さ吊り」という意味を表します。
これは、死後に三悪趣(地獄界、餓鬼界、畜生界)に堕ちた亡者が、まるで逆さ吊りにされるような、非常な苦しみに遭っていることを指しています。
ここで、智慧の象徴である燈明・灯籠を掲げ、仏・菩薩・龍神等の諸尊にお供えする法会が「万燈会」です。
これは古来から非常に霊験あらたかなものとされているのです。
では次に、燈明による功徳を説かれた部分を経典より見てみましょう。
2、阿含経(あごんぎょう)に見る万燈会
釈尊はまもなく、ご入滅の時を迎えようとしていました。
娑羅双樹の根元に釈尊が横たわると、その木に宿る神霊が、如来(釈尊)に最後の供養をしようと、季節外れの花を咲かせたのです。
その時、仏弟子のウパヴァーナは釈尊の前に座りました。
そして扇を手にもって、釈尊に涼風を送っておりました。
すると釈尊は、言いました。
「そなたはその場所を移りなさい。
私の前に座ってはいけません」
と、意外なことをおっしゃったのです。
その場にいた従者のアーナンダは内心、非常に驚きました。
そして、釈尊にこのように申し上げたのです。
「このウパヴァーナは、いつも仏さま(釈尊)にに従い、身の回りの世話をさせていただいております。
常に仏さまを尊敬し、仰ぎ見ております。
いま、仏様の最期の時と知り、彼が最後の世話をしたいと望むのは、当然のことだと思います。
それなのに、なぜ、ウパヴァーナにと退くように、ご命じになられたのでしょうか?」
釈尊は、諭すようにお答えになりました。
「いま、私の目の前に広がる土地のそこかしこには、数多(あまた)の神霊が住んでいる。
彼らは、
『如来が入滅されようとしている。
最後に如来にお目にかかりたい』
と願い、こちらをずっと見ています。
ところが、このウパヴァーナには大きな威徳ががある。
全身から燦然たる光が放たれている。
なので、神霊たちが私に近づき、私を礼拝することができないのです。
だから、私は神霊たちの願いを叶えるために、ウパヴァーナに座を退くように言ったのです」
アーナンダは、そのお答えを拝聴して驚きつつ、重ねて質問しました。
「ウパヴァーナはどのような功徳を積まれたのでしょうか?
どのような善行によって、それほどの威徳が身についたのでしょうか?」
釈尊は、アーナンダに静かに語られました。
「もう、今からずっと昔に、この世にヴィパッシン仏という仏様が出現され、世に正法を広められた後、ご入滅されました。
その時、このウパヴァーナは歓喜の心をもって、草の松明を燈明とし、ヴィパッシン仏の仏舎利塔を照らして供養したのです。
その功徳によって、現世でウパヴァーナは神霊たちでさえ及ばぬほどの霊光に包まれてているのです」
一同は、その教えを聞き、仏舎利塔を燈明で供養する功徳の大きさを知ったのです。
『長阿含経・遊行経』より
ここに登場するウパヴァーナは、漢字では「優波摩那」と書かれます。
ウパヴァーナは、前世において、燈明の供養をしていたのでした。
その功徳によって、現世では素晴らしい威徳を備え、全身から燦然たる光を放たれているのです。
智慧の象徴である燈明・灯籠を掲げ、仏・菩薩・龍神等の諸尊にお供えすることは、古来から非常に霊験あらたかなものとされています。
みなさんも、仏舎利塔(仏・菩薩・龍神等の諸尊)に燈明・灯籠を掲げて、すばらしい威徳を身にまとってみませんか。
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